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逆行性射精とは?
逆行性射精とは、精子が本来進むべきルートとは逆に膀胱に逆流してしまう症状のことを指します。
通常、精子は膀胱に逆流しないように、尿道には特別な弁、すなわち膀胱頸部(ぼうこうけいぶ)が設けられています。この弁は、内尿道括約筋の働きにより射精時に閉じるようになっていますが、さまざまな要因によってこの弁が正常に機能しない場合、精子が逆流してしまうのです。
その結果として、射精の感覚はあっても実際には陰茎から精子が排出されないことが起こります。この状態は「空射ち」(からうち)とも呼ばれています。
逆行性射精には、精子の一部が射精される「不完全逆行性射精」と、全ての精子が逆流してしまう「完全逆行性射精」という二つのタイプが存在します。
逆流が発生していてもオーガズムを感じることができるため、膣内で射精が行われた際には本当に精子が放出されているのかを確認することが重要です。特に、完全逆行性射精の場合、膣内に精子が届かないため、妊娠の可能性は極めて低くなります。
カウパー液(我慢汁)によって妊娠の可能性が示された事例もありますが、精子の数が非常に少ないため、実際の妊娠率は非常に低いのが現実です。
逆行性射精によって精子が逆流しても身体に直接的な害を及ぼすことはありません。逆流した精子は最終的に尿と共に体外に排出されるため、健康上の問題にはなりません。しかし、男性不妊の一因となる可能性があるため、子作りを考えている方は泌尿器科での相談をおすすめします。
逆行性射精の原因
逆行性射精の原因には、さまざまな病気や薬剤の影響が関係しています。
主な原因としては、糖尿病、脊椎の損傷、前立腺の手術後に生じる後遺症、さらに特定の薬物の副作用などが挙げられます。糖尿病は男性の性器に関連する合併症を引き起こすことがあり、勃起不全(ED)が同時に発生することも少なくありません。
これらの原因によって、尿道の弁である膀胱頸部が正常に機能せず、精子が逆流する事態が生じます。男性の性器の出口は一つですが、内部では尿が通る道と精子が通る道が分かれているため、弁が機能しないと尿道を逆流し、膀胱に精子が流れ込んでしまいます。
さらに、近年では「自律神経失調症」も逆行性射精の原因の一つとして認識されています。自律神経失調症は、自律神経のバランスが乱れることで起こる病気であり、「副交感神経」と「交感神経」の調和が崩れ、さまざまな体調不良を引き起こします。
射精の際には、一瞬だけ「交感神経」が活性化されます。この交感神経の働きによって尿道の弁が閉じ、射精の準備が整うのですが、もし交感神経が完全に機能しなければ、弁が十分に閉じることができず、逆流が発生することがあります。
逆行性射精の症状
逆行性射精の主な症状は、これまで述べてきた通り、精子が膀胱に逆流してしまうことです。特に痛みを伴うことはありませんし、身体に害が及ぶこともないため、健康上の懸念は少ないと言えます。膀胱に逆流した精子は、最終的には尿と共に体外に排出されます。
治療の必要性
逆行性射精自体には身体に害がないため、緊急に治療を行う必要はありませんが、男としての自信を取り戻したい方や、将来的に妊娠を希望する方にとっては、治療を受けることが有益です。
治療方法
逆行性射精の治療を行う前に、「尿中精液検査」が実施されます。この検査では、尿を採取し、その中に精子が大量に含まれているかどうかを確認することによって逆行性射精が診断されます。
逆行性射精は自然に治癒することはないため、専門の医師の力を借りる必要があります。治療方法は主に薬物治療が中心となります。
現在、逆行性射精に対して効果を示す薬剤には、フェニレフリン、プソイドエフェドリン、ブロムフェニラミンなどがあります。これらの薬剤は、膀胱頸部を閉じる効果が期待されていますが、逆行性射精を改善できる男性は全体の約4割程度に留まります。
また、逆行性射精を改善するための薬には血圧を上昇させる副作用が考えられますので、心臓に持病がある方や高血圧の方は特に注意が必要です。
逆行性射精自体は精子に問題があるわけではなく、あくまで逆流してしまう状態です。妊娠を希望するご夫婦の中には、精子を取り出して人工授精を行う方もいらっしゃいますので、必ずしも薬物治療が必要というわけではありません。治療を検討されている方は、ぜひ泌尿器科を受診してください。
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